特集 精神分裂病の家族研究
シンポジウム「精神分裂病の家族研究」に対する指定討論および一般質疑
講演3に対する指定討論
安永 浩
1
1東大分院神経科
pp.300-301
発行日 1966年4月15日
Published Date 1966/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200990
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分裂病の対人関係に関する一連の地道なご努力にはかねがね敬服しておりましたが,今回もたいへん興味ある所見を示してくださいました。いずれも思わず“おや”と思うような結果であり,この独創的なテストによらなければ発見できなかつた所見であると思います。つぎにだいたい四つに分けまして,討論――も含んでおりますが,むしろお教えいただきたいこと――を述べます。
1.まずI. C. L. の成績ですが,この意味あいについては,演者ご自身もお述べになりましたように,これがはたして「患者の理解力のよさ」を示すかどうかには,いくらか検討を要する点があります。たとえばその一つの点ですが,元来「わかる」「わかられる」は相対的なはたらきですから,わかるほうの「わかる力」ばかりでなく,わかられるほうの「わかられやすさ」も問題であるはずです。つまりこのテストの結果も,実は家族の側の「わかられやすさ」(意識と態皮の一致,単純さ),患者の側の「わかられにくさ」(意図と態度の矛盾,複雑さ)を意味していはしないか,という疑問が一応わきます(実際上これはありそうなことなので)。
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