Japanese
English
特集 精神分裂病の家族研究
破瓜型分裂病者の家族精神病理—統合的な接近から
Family Psychopathology of Hebephrenic Patients
三浦 岱栄
1
,
小此木 啓吾
1
,
牧田 清志
2
,
延島 信也
2
,
岩崎 徹也
2
,
田中 麻知子
2
,
北田 穣之介
2
,
川上 伸二
2
,
鈴木 敏生
2
,
内藤 春雄
2
,
馬場 謙一
2
,
武田 専
3
,
鈴木 寿治
3
,
河合 洋
4
,
玉井 幸子
5
,
鈴木 竜一
6
,
馬場 礼子
2
,
南坊 満里子
2
,
山本 久仁子
2
,
片山 登和子
2
,
深津 千賀子
2
,
滝口 俊子
2
,
松田 久子
2
,
山木 允子
2
,
今野 明子
2
,
餅田 彰子
2
,
民野 直子
2
,
玉井 仁子
2
,
古田 直子
2
,
横田 愛子
2
,
牧田 玲子
3
,
瓜生 武
7
,
梶原 達観
8
,
福島 悌子
9
,
服部 建
9
,
金井 建郎
9
,
大原 知子
9
T. Miura
1
,
K. Okonogi
1
1慶応大学医学部神経科
2慶大神経科
3武田病院
4大泉病院
5武蔵野病院
6三恵病院
7東京家裁所
8横浜家裁所
9立教大学社会福祉科
1Neuro-psychiatric Department, Keio Univ., School of Medicine
pp.283-295
発行日 1966年4月15日
Published Date 1966/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200986
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I.まえがき
昨年の“分裂病の治癒”のシンポジウム1)で述べたように,われわれは,分裂病の本質を自閉的な存在に向かう潜勢力の発展(potential evolutif, H. Ey)にあると考えている2)。したがつてその家族研究にもこの傾向が定型的なかたちで現われる破瓜型分裂病者の30家族をその対象に選んだ。
すでにわが国でも,各種の方法による家族研究が報告されているが,いずれにせよ,現段階では,その精神医学上の意義を評価する前に,まず,分裂病家族が実際にどんなありかたをしているかを,経験的な資料にもとついて明らかにする統合的な方法が準備されていなければならない。このこころみを実現するために,われわれは,これまで培つてきた,患者個人を理解する力動精神医学的な方法を家族研究の方法に再構成し,精神医学的な研究としての連続性をたもちながら,社会学的単位としての家族集団にふさわしい統合的な接近方法を,確立しなければならなかつた。たまたまわが教室には,intensiveな個人精神療法と家族面接,力動精神医学的な見地,これと共通した理論にたつ各種心理テストなどが,準備されていたので,これを家族研究,とくに家族力動を把握する方法として組織づけ,これによつて破瓜病家族の家族力動の実態を解明することにした。そして,この方法論の要(かなめ)としてAckermanの家族力動の理論と診断法をよりどころとした*1。
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