Japanese
English
研究と報告
いわゆる境界例の精神療法的研究(その1)—その病識および治療理解をめぐつて
Psychotherapeutic Studies on the Boderline Case. I.: Their insights into illness and understandings of psychotherapy
三浦 岱栄
1
,
小此木 啓吾
1
,
鈴木 寿治
1
,
河合 洋
1
,
岩崎 徹也
1
,
玉井 幸子
1
T. Miura
1
,
K. Okonogi
1
,
T. Suzuki
1
,
H. Kawai
1
,
T. Iwasaki
1
,
K. Meguro
1
1慶応大学医学部神経科教室
pp.521-530
発行日 1963年7月15日
Published Date 1963/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200580
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
Ⅰ.まえがき
わが教室では,武田1)が1958年に境界例の32例について詳細な症例観察にもとづく分類を報告して以来,境界例borderline caseなる概念を,臨床上の診断用語として使用しているが,その後,精神分析的な方向づけをもつた精神療法の教育2)が進むとともに,この種の症例群に対して,6人の治療者による長期精神療法を組織的に実施し,その症候学的および精神力学的な観察をこころみている。このこころみは,精神療法の治療効果を云々するだけの立場に立つものではなく,むしろ一種の実験にも比すべき,力動的な精神病運学的観察をめざすといつたほうが適切である(注1)。
Copyright © 1963, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.