Japanese
English
研究と報告
“Reading Epilepsy”の1症例
One Case of "Reading Epilepsy"
細川 清
1
,
西岡 博輔
1
,
山本 昌知
1
K. Hosokawa
1
,
H. Nishioka
1
,
S. Yamamoto
1
1岡山大学医学部神経精神医学教室
1Dept. of Neuropsychiat. Okayama Univ. School of Med.
pp.71-76
発行日 1965年1月15日
Published Date 1965/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200790
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.はじめに
知覚刺激(Sensory Stimuli)によるてんかん発作誘発の記述は古くとくに目新しいことでもない。光原性てんかん,音楽原性てんかんなどの発作群に加え,興味あるSyndromとして1956年Bickford1)が“Reading”が特異的刺激となり発作が誘発された自験例を中心として“Reading Epilepsy”を報告した。本症は2型に分類され“PrimaryReading Epilepsy”は読書が特異刺激であり,なかんづくかれの報告した6例中5例,読書中不随意の発作性下顎運動(A series of involuntaryjerking of the lower jaw)および下顎の異和感の訴えが見られ,読書をさらに継続すれば全身けいれん,意識消失などの発作へと移行するタイプの症例群であつた。これに反し,他のタイプは読書が特異的誘発刺激でなく,他の刺激でも誘発され,例の“下顎運動”も見られず,閉眼覚醒時すでに異常脳波が見られる症例群であるという。その後,“Reading Epilepsy”としての症例報告は相ついで現われ,こんにちまでに29例におよんでいる。これらはまだ症例報告の段階にあり,その機序については定説を見ていないようである。われわれも最近Bickfordによるいわば第2のグループにはいると思われる症例を経験したので本症の報告を行ない,あわせて若干の文献的考察をこころみた。
Copyright © 1965, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.