Japanese
English
研究と報告
てんかん性もうろう状態および知覚抗争を伴つた身体図式障害の1例
A Case of Body-schema Disturbance with Epileptic Befogged States and Perceptual Rivalry
高柳 功
1
I. Takayanagi
1
1信州大学医学部精神神経学教室
1Dept. of Neuropsychiat., School of Medicine, Shinshu University
pp.65-69
発行日 1965年1月15日
Published Date 1965/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200789
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I.序
身体図式障害という言葉はHeadらが身体図式という概念を提出して以来,脳病理学では広く用いられているが,脳病理学以外の領域でも多くの症状の説明に適用されており,そのために時に混乱が生じてくる。われわれがここで問題にするのは,あくまで脳病理学的概念における身体図式障害である。半側性の身体図式障害の成因については従来種々の異論があり,左大脳半球の優位性という問題もからみ諸家の見解は一致しない。一般に右劣位半球損傷によって身体図式障害が生じやすいことは事実であるが,単に右劣位半球における病巣のみによつてこのような障害が出現するとはいえず,そのさいに病巣外要因も当然考慮せねばならない。病巣外要因として種々な程度の意識障害がしばしば存在することはすでにCritchley,Weinstein,山県らが指摘しており,山県は意識障害の役割りが症状の出現に対してきわめて大きいと述べている。われわれは最近,頭部外傷後遺症で右劣位半球損傷が推定される症例を経験したが,この患者には頻回にもうろう状態が生じ,同時に身体図式障害および触覚性の知覚抗争が認められた。身体図式障害に意識障害および知覚抗争が合併したということは上述の病巣外要因をよりいつそう知るうえで興味のある点である。なお,身体図式障害に対しLSD 25を投与し症状の変化を観察しえたのであわせて報告する。
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