Japanese
English
研究と報告
精神薄弱児に対する薬物療法
The Pharmacotherapy of mentally retarded Children
高橋 彰彦
1
,
三浦 隆
1
A. TAKAHASHI
1
,
T. MIURA
1
1秩父学園
1Chichibu Gakuen, The National Homefor mentally retarded Children
pp.153-163
発行日 1960年3月15日
Published Date 1960/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200195
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
重症精薄児延63例に4種の薬剤を投与して,精神薄弱の治療の可能性を追求した。
Chlorpromazine(コントミン)療法は10例に行い,8例に興奮鎮静効果を認めた。その中1例は1年間効果が持続し,他は治療期間のみか,または治療後短期間で元の状態に戻つた。
Perphenazine(P. Z. C.)療法は11例に行った。単独投与の9例では,効果のあつたもの6例で,その中2例は疎通性がやや改善され,他の4例は感情の鎮静・安定と行動の落着ぎを見た。PzとCp・Phenobarbita1の併用投与の2例は併用中のみ行動の落着きと従順さが見られた。Cp,Pzおよび同種の他の薬剤のいずれによつても症状に変化のない症例があつた。
Dimethylaminoethanol(レクレイン)療法は,18例に行い,16例に効果が見られた。行動増加を来たしたのは13例で,その中6例は粗暴性を示すようになつたものであつた。行動の質的な進歩を見せたものが3例あつた。全般に意欲の高まりを認めたが,それを望ましいi形に方向づけることは,本療法の限界を越えるものと考えるべきである。
γ-AmiIlobutyric acid(GABA)療法は24例に行い,15例に効果が見られた。感情鎮静,安定作用は15例中7例に,精神活動の活濃化は8例中5例に,また日常行動の進歩は23例中8例に見られた。
Copyright © 1960, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.