Japanese
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資料
農村における社会精神医学的問題について—地域保健婦の声を中心として
Studies on Sociopsychhtric Problems in Rural District.
鈴木 喬
1
,
山越 剛
1
T. Suzuki
1
,
T. Yamakoshi
1
1茨城県立友部病院内原分院
1Uchihara Mental Hospital.
pp.617-621
発行日 1964年8月15日
Published Date 1964/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200738
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Ⅰ.はじめに
われわれは最近,当院入院患者の過半数を占める農民患者の社会復帰を阻害する要因を,症例研究,家族調査などを通じて検討中である。ここで報告する国保保健婦を通じてのアンケート調査は,われわれの研究の一翼であつて,とくにその初期の段階では,有力な"方向づけ"をえたものであり,われわれ自身この保健婦の声を高く評価しているものである1)2)。また,この調査を通じて,茨城県では精神病院,晴神衛生相談所,国保保健婦三者の連携が強化されつつあるが,このことは,今後の地域社会におげる精神衛生活動を進めるための,重要な礎石をなすものと考えている。
さて,このアンケートに盛られた問題は,"農家から精神病者が出た場合。その農家の受ける影響の実情はどうか,またそれらの影響は,患者が家族内で占める地位,ならびにその農家の属する階層によつてどう変わるかが第一である。つぎに,近隣,部落の人たちの間でささやかれる噂話の実例にはどんなものがあるかが第二である。以上の問題では,精神病者発生に伴うマイナスの影響が,農業的,農家的,農村的な見地からプラスの方向に転ずる場合には社会復帰が促進されるだろうとの仮説に立つている。第三には,彼女たちが当面している精神衛生上の諸問題および,精神衛生行政のありかたに対する要望について解答を求めた。この問題では,社会復帰の実際活動において,国保保健婦との連携を強化する鍵はなにかをさぐろうとした。
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