Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
1947年スイスのSechehaye夫人が象徴的実現Réalisation symboliqueの精神療法技法を公けにし,これはまもなくsymbolic realization, symbolische Wunscherfüllungとして英・独語系にも飜訳され大きな反響をよんだが,中でも注目をひいたのは,Sechehayeの治療した少女Renéeの手記Journal d'une Schizophrène(1950)であつた。Renéeの精神療法にとられた画期的な手法の妥当性,Renéeが真に治癒したか,などについてもときどき問題にはなつたが,RenéeのJournalの記述からして,はたして彼女が精神分裂病であつたか否かは疾病論的に関心をもつ諸学者にとつてその後多くの論議の的となつた。
ZilligはLa réalisation symboliqueの紹介においてRenée例がschizophrener Prozessであったかどうかにかるい疑問を述べている。Rümkeはその真正分裂病echte Schizophrenieと偽分裂病Pseudoschizophrenienとを区別した論文においてRenée例をとりあげ,この病型をSchizophrenie Typus Sechehayeの名のもとに,Entwicklungs-Pseudo-Schizophrenienとして偽分裂病群に属せしめた。彼はRenéeはintrovertierter Typの重症のdegenerative Hysterieと考えている。Conradは彼の著書の付説においてRenée例を考察し,その記述された体験が分裂病性体験と考えられないと論じ,これはschwere Neurose mit kleinen und grossen hysterischen Ploduktionenであるとしてその根拠をRenéeの体験一々についてきびしく論駁した。
Copyright © 1964, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.