特集 神経症の日本的特性
昭和38年精神病理懇話会より
「神経症の日本的特性」について
村上 仁
1
1京都大学
pp.87
発行日 1964年2月15日
Published Date 1964/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200666
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今回の精神病理懇話会のテーマとなつた「神経症の日本的特性」については,すでに早く高良教授が日本人に対人恐怖が多いことを指摘され,これを日本人の前近代的な人間関係と結びつけて論じられたし,また土居氏は豊富な精神分析療法の経験に基づき日本人の心的特性としての「甘え」の心理について述べている。またわが国で創始された森田療法と日本人の精神的文化的特質との関係についても種々論議されている。
今回はこの問題について深い関心と造詣とをもたれる池田,近藤,加藤,Caudillの4氏の講演に続き,土居氏の追加発言をはじめ,多くの方々の活発な討議があつた。これらの方々の論旨は極めて多岐にわたり,種々の異なつた観点から問題の解明に努められたので,はなはだ興味があつたが,他方このテーマが多くの複雑な問題を含み,一筋縄では解決できないものであることをも感じさせられた。
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