座談会
行動科学とは何か
井村 恒郎
1
,
黒丸 正四郎
2
,
島崎 敏樹
3
,
台 弘
4
,
大熊 輝雄
5
,
平尾 武久
6
1日本大学神経科
2神戸医大神経科
3東京医歯大神経科
4群馬大学神経科
5東京大学神経科
6群馬大学生理学
pp.947-964
発行日 1963年12月15日
Published Date 1963/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200640
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井村(司会) 近ごろ行動科学ということをたびたび耳にしますが,この言葉を聞きますと,私などは昔の心理学でいわれた行動主義とどうも混同してしまいます。おそらく違うのだろうとは感じるのですが,どこが違うかということがよくわからない。正直なところ私などどうも本筋は同じではないかと漠然と感じています。心理学における行動主義は感覚,思考,感情といつた本来体験されるもの,内省的に確かめられるものを抹消して,客観的に見きわめられるような事実だけを記述し,実験するという立場だと思います。つまり,意識の心理学に真向から対立する立場です。これは心理学の畑での話ですが,さて精神医学の中でどのように考えたらいいか。私の感じではまず第1に思いうかぶのは,意識の事実を記述するという建前にたつている現象学との対立関係です。精神医学の中で深い根をおろしているJaspersの現象学を否定するような方法論的な立場になると思うのですが,この私の素人的な意見につきご批判いただぎたいと思います。私はbeha書viorismとbehavioral scienc爭とを混同しているようですが,どういう点で違うのかということ,それが一つ。また現象学とそれ程真向から対立するものになるかどうか,などの点をぜひ教えていただきたいと思います。
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