Japanese
English
研究と報告
了解的方法に関する一批判—とくにK. Jaspersの了解心理学に関して
Eine kritische Bemerkung ueber die verstehenden Methodeno: insbesondere ueber Jaspersschen verstehenden Psychologie
前田 利男
1
T. Maeda
1
1新潟大学医学部精神神経学教室
1Dept. of Neuropsychiat., Niigata Univ., School of Med.
pp.903-911
発行日 1963年11月15日
Published Date 1963/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200634
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I.緒言
日常の臨床的精神医学にとつて了解が重要な役割をはたしていることは多言を要しない。とくにK. JaspersやK. Schneiderなどの立場においては,了解的,非了解的ということがただちに臨床的に有力な診断の基準であるかのごとく思われる。
ひるがえつて,科学としての精神医学がその普遍妥当性と現実強制力とを有することを要請されているならば,この了解的方法もまた厳密な学問的概念規定と方法論とをもたねばならないであろう。しかるに了解的方法あるいは了解心理学が,少なくとも精神医学においては,K. Jaspers以来多くの学者により批判,討論されてきたという事実は,それらが上記の要請を完全に満たすものではないことを示していまいか。了解ということがまず了解されなければならないほど,了解の概念あるいはその方法に多くの問題を蔵しているのであろうか?
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