動き
精神科医と精神衛生—精神衛生ゼミナール報告
加藤 正明
1
KATO MASAAKI
1
1国立精神衛生研究所
pp.431-436
発行日 1961年5月15日
Published Date 1961/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200334
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とかく日本では,研究といえば実験室内の実証的な自然科学的研究でないと,科学的でないかのように思われ,がちだ。そういう考えのうえに「精神衛生」をもちこんでみても,それは一種のP. R. の仕事だとか,社会運動だとかいつた理解しかされない。昨年は精神衛生年だつたせいもあつて,全国に精神衛生協会や協議会がだいぶ増えたことは結構だが,それもたいていの精神科医にとつては,つきあいだつたり,せいぜいP. R. 的にしかうけとられていないのではなかろうか。
「精神衛生」に対する精神科医の懐疑やためらいは,つぎのいくつかの理由によると思われる。第1に「予防的精神医学Preventive Psychiatryは可能か」ということである。原因はもとより対症療法すら暗中摸索の現況で,予防などとはという気持ちがつよい。この意味でいえば予防の可能な対象は,原因の比較的はつきりした外因性精神障害にしぼられるべきだということになる,そういう考えがある。
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