特集 明日の公衆衛生
今後に期待するもの
精神衛生
高木 四郎
1
1国立精神衛生研究所児童精神衛生部
pp.27-30
発行日 1957年7月15日
Published Date 1957/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201845
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
Ⅰ はしがき
精神衛生に対する関心は全世界を通じ第二次大戦を境として著しく高まるに至つた。その結果,1948年には世界精神衛生連盟(World Federation of Mental Health)が結成され,それ以後連盟の年次総会および2年おきに国際精神衛生会議が開催されるようになつた。また,世界保健機構(World Health Organization,WHO)も精神衛生を重要事項として取上げている。
わが国も当然この世界的情勢の影響を受け,戦後精神衛生はようやく一般の関心の的となるに至つた。ことに戦前は精神衛生に対する関心は精神医学の一部専門家の間に限られていたが,戦後は教育・心理学・社会福祉・公衆衛生関係者,さらに一般人士の間にまで広がり,その内容意義を理解するとしないとにかかわらず,広く精神衛生が口にされるようになつた。そして昨今ようやく「精神衛生」の念仏を唱えるだけでなく,その事業をいかに建設し推進すべきかという,足が地に着いた対策を考えるべき時期に到達したように思われる。
Copyright © 1957, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.