Japanese
English
研究と報告
汎神経症のロールシャッハ研究
The Rorschach of "Panneurosis"
大塚 文雄
1
,
木津 雅晴
1
,
隠岐 忠彦
1
F. OTUKA
1
,
M. KIZU
1
,
T. OKI
1
1大阪医科大学神経科教室
1Dept. of Psychiatry, Osaka Medical Collage
pp.193-198
発行日 1961年3月15日
Published Date 1961/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200308
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周知のごとく,神経症については,その臨床像あるいは病因をいかなる観点からみるかによつて,種々の分類がなされるのであるが,ことにわれわれ臨床医にとつて興味があり,また病因論的にも重要と思われる問題の一つに,神経症と精神病とくに分裂病との関係,なかんずく境界領域の問題がある。たとえば,Kehrer(1924),Schneider(1934),Lange(1939)らは,強迫神経症と精神分裂病との親近性を指摘し,一方満田ら(1959)は,神経症の臨床遺伝学的研究から,神経症の中でもことに不安神経症,強迫神経症,離人症のほか,易感性反応などのいわゆる精神衰弱の範疇に入る類型は,比較的症状の単純な神経症に比し,内因性精神病,ことに精神分裂病と遺伝的により密接な関係のあることを認めている。事実われわれ日常臨床の場において,神経症とも分裂病とも鑑別しがたい症例に遭遇することがしばしばある。
HochおよびPolatin(1947)は,臨床的に一見psychoReuroticな症状を示しても,その症状が瀰慢性(diffuse)で,同時に多彩な訴えを有し,それでいてその訴えのfocusは漠然として通常の神経症にみられるような,症状のabscess-formationがみられず,かつ不安感は浮動的(free-floating)であつていわばpananxietyの様相を示す1群の症例に注目し,これを汎神経症と称することを提案し,単純な神経症から区別するとともに,分裂病との親近性を力説している。
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