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特集 妄想の人間学—精神病理懇話会講演ならびに討論
妄想の人間学的対人関係論—二人称の精神病理学からみる
Wahn und Weltbezogenheit, betrachtet vom Standpunkt der "Psychopathologie der zweiten Person."
宮本 忠雄
1
T. MIYAMOTO
1
1東京医科歯科大学神経精神医学教室
1Aus der Neuropsychiatrischen Klinik der Ika-Shika Univ. zu Tokio
pp.29-39
発行日 1961年1月15日
Published Date 1961/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200290
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最近2,30年間における精神病理学の領域ではその方法や対象についてさまざまの変化がおこつている。それの余波は当然ながら妄想論の内部にまで波及しつつあり,従来の記述的方法をはじめ,力動的方法,人間学的方法はそれぞれ新たな変革を経ながら,一見雑多なこころみをくりかえしている。しかし,それらのなかにはとにかく1つの新しい基本的趨勢をくみとれるようでもある。……ところで,このような変化の詳細はこれまでにもたびたび紹介されているので,われわれはここではむしろ,そういう変化のもとに横たわる基本的な骨組みをとりだして,そのうえに1つの精神病観をうちたて,これをさらに妄想研究のなかにも生かしていこうと思う。したがつてここでは(懇話会の性質上)妄想論の細部にわたることはやめて,もつぱら《妄想をどうみるか》という巨視的観点にたちながら,妄想に関するいくつかの問題点をとりだしていきたい。
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