研究と報告
分裂病とパントテン酸
高坂 睦年
1
1岡山大学医学部精神神経科
pp.827-833
発行日 1960年12月15日
Published Date 1960/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200283
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1.はじめに
分裂病生体における代謝をうかがうつもりで,患者の血液について調べていたところ,血球自体がになつている変化に気づいた1)1)。この変化は血球の形態においてみられたり,in vitroにおいて,赤血球自身が行なう解糖作用に変化があつたり,あるいはまた赤血球が持つている炭酸脱水酵素活性値が低かつたりすることであつた。これらのうち解糖作用の変化とビタミンの関係をさがしたのが最初の仕事であつたが,パントテン酸をとりあげてみたのが直接分裂病とパントテン酸の関係を調べる最初のものであつた(共同研究者松枝の論文)。2)それからパントデン酸(PaAと略す)を分裂病患者に投与し,副腎皮質機能を調べたり,臨床状態像の変化を観察した。詳細は他日共同研究者たちの論文に記すこととして,ここではその概略を紹介しておきたい。
Copyright © 1960, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.