特集
―座談会―「精神障害分類についての一試案」をめぐつて
井村 恒郎
1
,
林 暲
2
,
笠松 章
3
,
三浦 岱栄
4
,
懸田 克躬
5
,
島崎 敏樹
6
1日大
2都立松沢病院
3東大
4慶大
5順大
6医歯大
pp.288-293
発行日 1960年5月15日
Published Date 1960/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200217
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骨子はどこか
井村 この論文の最初に書いてありますように,この試みは要するに診断というものを国際的なものにしようという意図から発していると思います。つまり,これまで各国の学者によつてまちまちだった診断名というものを一定の診断基準を設けて体系化しようとしています。その基準を一方では病因が何かという観点からすることそれからもう1つは症候群単位に分けること,まあドイツ的にいいますと,Krankheitseinheitの理論とそれからSyndrom-Lehreを綜合しようという試みだと見受けられます。
病因群は内因,外因,心因というふつうの分け方以上におよんで,つごう6つに分けております。つまり病因の作用する時期といいますか,病因の影響が発現する時期によつて,それぞれ小児期と成人期に細分しています。ですから横の軸が6つになるわけです。縦軸にくるのが症状群で,これが26あります。そういう枠を作つて,その枠の中でわれわれが病像といつておるものを位置づけております。こうして作られた一覧表をみると一見はなはだ合理的ですが,そこに幾つかの疑問ないし問題があるかと思います。
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