特集
「精神障害分類についての一試案」に対する批判
西丸 四方
1
1信州大学
pp.275-280
発行日 1960年5月15日
Published Date 1960/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200212
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〔1〕
精神障害の分類は国により,学派により,また個人個人により多かれ少なかれ差異があり,万人が妥当とする分類はできそうもない。ここに批評を依頼された分類法も私からみると,クレッチマーがとりいれられているものの非常にフランス的であり,分類表はかなり複雑ですなおに頭に入りにくいように感じられるが慣れればいいかもしれない。実は私も10年ばかり前に小さな入門書を書いたときに多少これに似た表を作つてみて,その後改訂の度に手を加えて来たので,ここの批評にはどうしても自分のものを持出してこざるをえない。そして人間は誰でも,ことに意見を発表しようなどという者は,相当自信を持つているのが常であり,自分のものが一番よいものだと思うのはやむをえないことだろう。
まずはじめに本論文を読んでいつて私の目についた気になる点を順次にあげてゆく。メランコリーをforme hypocondriaqueとかobsessionnelleというようにこまかく分つと,なおいくつも分けられることになるし,メランコリーのみならず,マニーにしても何にしてもいろいろの色彩によつて限りなく分たれうることになる。
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