紹介
—L. Binswanger 著—精神分裂病(Schizophrenie)〔第3回〕
東京医科歯科大学神経科教室精神病理学グループ
pp.280-284
発行日 1959年4月15日
Published Date 1959/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200086
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第3例
症例 ユルク・ツュント
この症例は臨床的にも人間学的にもエレン・ウェストとナジアの症例(Janet)に近い。しかし,エレンの問題性が自分の世界に限られているのに対して,ナジアと,とくにユルクでは,周囲の世界に関する問題性,《他人と違つていること》の苦悩が圧倒的である。エレンが自分自身にだけ恥じるのに,ナジアとユルクはもつぱら他人に対して恥じ,自分の姿や着物が他人の物笑いになることを怖れる。とはいえ,これらは自分の世界に関する怖れと結びついている。なぜなら,対象・自己・身体の各面での《障害》は現存性の基盤においては,密接につながり合うばかりか,同一の根をもつているからである。
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