巻頭言
精神病床の削減と小規模精神科病院の機能
高柳 功
1,2
1四方会有沢橋病院
2小規模精神科病院全国協議会
pp.336-337
発行日 2004年4月15日
Published Date 2004/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405100464
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2003年5月厚生労働大臣を本部長とする厚生労働省の精神保健福祉対策本部が「中間報告」をまとめ,「入院医療中心から地域生活中心へ」という将来のビジョンを打ち出した。中間報告の最重要ポイントは7万2千人の退院と病床削減にあると思われる。この問題については江畑がすでに本年2月号の本誌巻頭言で新障害者プランを中心に述べているので,筆者は少し視点を変えて論じてみたい。
7万2千人の退院については「受け入れ条件が整えば」という前提がついているが,その根拠とされたのは1999年に行われた内科,外科,小児科などすべての診療科を対象にした入院患者調査である。その調査票の1項に①生命の危険は少ないが入院治療,手術を要する,②生命の危険がある,③受け入れ条件が整えば退院可能,④検査入院,⑤その他,という項目があり,③の「受け入れ条件が整えば退院可能」と病床区分の「精神病床」をクロスさせた数字が7万2千である。
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