Japanese
English
特集 うつ病の早期介入,予防(Ⅱ)
ストレス(養育環境)とうつ病
The Influence of Childhood Abuse, Adult Stressful Life Events on the Major Depressive Disorder
戸田 裕之
1
,
井上 猛
2
,
朴 秀賢
3
,
吉野 相英
1
Hiroyuki TODA
1
,
Takeshi INOUE
2
,
Suken BOKU
3
,
Aihide YOSHINO
1
1防衛医科大学校精神科学講座
2北海道大学大学院医学研究科精神医学分野
3神戸大学大学院医学研究科精神医学分野
1Department of Psychiatry, National Defense Medical College, Tokorozawa, Japan
2Department of Psychiatry, Hokkaido University Graduate School of Medicine
3Department of Psychiatry, Kobe University Graduate School of Medicine
キーワード:
Epigenetics
,
Early life stress
,
Depression
,
TEMPS-A
Keyword:
Epigenetics
,
Early life stress
,
Depression
,
TEMPS-A
pp.739-745
発行日 2014年9月15日
Published Date 2014/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405102794
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はじめに
幼少期のストレスによって,成人後,うつ病をはじめとするさまざまな精神疾患発症の脆弱性が高まることが指摘されている8)。気分障害に関しては,大うつ病性障害の発症と経過に影響を与えることがメタアナライシスで確認されており14),双極性障害についても臨床経過を悪化させることが報告されている6)。げっ歯類などを用いた動物実験では,幼獣期の環境が脳の遺伝子発現を調整し,成獣後まで持続して生物学的な変化の原因となっていることが分かっている。このような遺伝子-環境相互作用が発達の段階から成長するまで長期にわたって持続することの生物学的な背景の1つとして,塩基配列の変化によらないDNAの構造的な変化(エピジェネティクス)が近年報告されている22)。
本稿では気分障害における幼少期のストレスの影響に関する臨床研究と基礎的研究を紹介し,現在我々が取り組んでいる臨床研究についても触れたい。
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