Japanese
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特集 オグメンテーション療法か,多剤併用療法か
薬物治療におけるエビデンスとアルゴリズムの意義―大うつ病性障害を中心に
Implications of Evidence/Algorithm-Based Pharmacotherapy for Major Depression
戸田 裕之
1
,
野村 総一郎
1
Hiroyuki TODA
1
,
Soichiro NOMURA
1
1防衛医科大学校精神科学教室
1National Defence Medical College Department of Psychiatry
キーワード:
Algorithm
,
EBM
,
Evidence-Based Medicine
,
Augmentation
,
Depression
Keyword:
Algorithm
,
EBM
,
Evidence-Based Medicine
,
Augmentation
,
Depression
pp.601-609
発行日 2006年6月15日
Published Date 2006/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405100765
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はじめに
Fulvoxamine 50mg,paroxetine 20mgにsulpiride 150mg,加えて三環系抗うつ薬と非定型抗精神病薬が少量ずつ,さらにベンゾジアゼピン系抗不安薬が3種類ほど併用されている。外来に紹介受診するうつ病患者の投薬内容の1例である。もちろん,我々の病院周辺でのみ多剤併用療法がまかり通っているというわけでなく,上記投薬は本邦における標準的な薬物治療の一側面を表しているといえよう。当科の外来においても,数年前までは似通った投薬が氾濫していた。
2003年より,我々はアルゴリズムを用いたうつ病の標準治療外来を開設している。その取り組みを境として,薬物治療全般に対する認識も変化してきている。本稿では,当科における標準治療外来の現在までの結果を提示し,薬物治療におけるアルゴリズムとエビデンスの意義を検討した。後述するように当科で用いているプロトコルはlithiumによるaugmentationを重視した内容になっているので,うつ病治療におけるaugmentationの位置づけについても考察を加えている。もともと,本稿には精神疾患全般の薬物療法におけるエビデンスの重要性とアルゴリズムの意義に関する検討を求められているが,これはいささか,筆者らの能力では手にあまる問題であるので,内容の大半を気分障害,しかも単極性のうつ病について割くことにする。
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