書評
DSM-IV-TRケーススタディ─鑑別診断のための臨床指針
石郷 岡純
1
1東京女子医科大学教授・精神医学
pp.691
発行日 2005年6月15日
Published Date 2005/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405102487
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すべての精神科医が通読すべき1冊
待望久しかったアメリカ精神医学会によるDSM-IV-TRケーススタディの日本語訳が,このたび出版された。著者はDSM-IV改訂の際の編集委員長であるAllen Frances・デューク大学精神科教授とRuth Rossである。
このケーススタディには74例が収録されており,16章に分かれる各疾患カテゴリーで数例ずつを提示し,症例ごとに鑑別診断を含む診断へのプロセス,および治療方針まで解説するという体裁で構成されている。呈示される症例は適度に教科書的であるがリアリティもあり,解説も抑制の利いた語り口で進められているため受け入れられやすく,操作的診断法がはじまって四半世紀たった今このような診断スタイルがある普遍性に到達し,決して無味乾燥なものではないことを実感できる書物となっている。
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