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はじめに
精神医学の王道とは言えないかもしれない認知症の診療は,少子高齢化が進行中のわが国において,少なくとも今後四半世紀は,好むと好まざるとにかかわらず,絶対的に重要な分野にならざるをえない。統合失調症・気分障害・不安障害などの「王道」に主な興味がある精神科医が多いのは当然であろうが,たとえそのような精神科医であっても,認知症の診療がそれなりにできなければ,もはや精神科医失格の烙印が押されかねないのは,21世紀の日本の精神科医にとっては避けられないことであると覚悟すべきであろう。また,神経内科や老年内科の中に認知症診療に積極的な医師も現れている現在,精神科医には否が応でも認知症の行動・心理症状(behavioral and psychological symptoms of dementia;BPSD)への対応が期待されるのは,微妙に複雑な思いを感じないわけではないが,社会的な観点からは,止むを得ない・必然的なことと言えるであろう。上記のような状況をふまえ,あらためて認知症(dementia)の概念を考察し,さらにBPSDについても言及したい。現在,作成が進められているDSM-5(American Psychiatric Association:Diagnosis and Statistical Manual of Mental Disorders, 5th Ed)では,major neurocognitive disorderとminor neurocognitive disorderの2つのカテゴリーを設けており,これまでの認知症はmajor neurocognitive disorderに,軽度認知障害(mild cognitive impairment;MCI)はminor neurocognitive disorderに,ほぼ相当するようである。
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