Japanese
English
特集 医療現場での怒り—どのように評価しどのように対応するべきか
認知症の怒りに対処する
Evaluation, Understanding, and Management of Anger in Dementia at General Hospital
谷向 仁
1,2,3
Hitoshi Tanimukai
1,2,3
1京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻
2京都大学医学部附属病院緩和ケアセンター
3京都大学医学部附属病院緩和医療科
1Graduate Course of Human Health Science, Graduate School of Medicine, Kyoto University
2Department of palliative medicine, Kyoto University Hospital, Kyoto, Japan
3Kyoto University Hospital, Kyoto, Japan
キーワード:
Anger
,
Dementia
,
BPSD
,
Personhood
,
Dignity
Keyword:
Anger
,
Dementia
,
BPSD
,
Personhood
,
Dignity
pp.1297-1304
発行日 2019年11月15日
Published Date 2019/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205936
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抄録 「怒り」は認知症者に限らず誰にでも生じるものである。したがって,医療者が認知症者の「怒り」に適切に対応するためには,まず“人”が「怒り」を感じる状況や心理について理解した上で,BPSDなどにより誘発される「怒り」を理解することが大切であると筆者は考える。「怒り」の根底には自尊心や尊厳の傷つきがあると考えられることから,医療者は自分たちの行う治療,ケア,コミュニケーションが,「自尊心や尊厳を侵害していないか」について常に注意を払い,パーソンフッドを大切に敬意をもって接することが重要である。また,「怒り」の表出に影響する因子として,unmet needや身体的不調が隠れていないか,治療薬による影響はないかなどにも注意する必要がある。BPSDによって誘発された怒りでは非薬物療法をまず試みるが,症状マネジメントが困難な場合には薬物療法も考慮される。ただし,特に抗精神病薬の開始や使用期間については慎重な検討が必要である。
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