Japanese
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連載 「継往開来」操作的診断の中で見失われがちな,大切な疾病概念や症状の再評価シリーズ
単純型・寡症状性統合失調症
Simple Schizophrenia and Poor-symptomatic Schizophrenia
田中 伸一郎
1
Shinichiro TANAKA
1
1杏林大学医学部精神神経科学教室
1Department of Neuropsychiatry, Kyorin University Medical School. Mitaka, Japan
キーワード:
Poor-symptomatic schizophrenia
,
Schizophrenia
,
Simple type
Keyword:
Poor-symptomatic schizophrenia
,
Schizophrenia
,
Simple type
pp.734-737
発行日 2012年7月15日
Published Date 2012/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405102228
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はじめに
統合失調症のサブタイプのうち,単純型と寡症状性とは似て非なるものである。まずは,これらの概念の出自が異なることを確認しておこう。
単純型統合失調症は,20世紀初頭にスイスの精神科医Bleulerが統合失調症概念を確立した際に取り上げた,破瓜型,緊張型,妄想型に続く,第4の臨床類型である。
一方,寡症状性(symptomarmないしsymptomkarg)は,うつ病や統合失調症の軽症化に伴って,20世紀半ば以後のドイツ語論文において頻用された言葉である。わが国でもこの潮流にしたがって,明確な幻覚,妄想,緊張病症候群といった特異的な症状を欠き,ゆるやかな経過をとる破瓜型と単純型を併せたものを「寡症状性統合失調症」と呼ぶようになった。
本稿では,まずは単純型統合失調症の,次いで寡症状性統合失調症の,病像や臨床症状をまとめたが,いわゆる「内省型」については,単純型統合失調症の理念型とはむしろ対極をなす病像が特徴的であるため,寡症状性に含めることとした。
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