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医療保険改革試案について
戒能 通厚
1
1東京大学社会科学研究所
pp.57
発行日 1968年1月10日
Published Date 1968/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204100
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すでに10月1日,さきの健保国会で強行採決された法律にもとづいて薬代の一部自己負担が行われましたが,これより前保険料率引上げは8月から初診時,入院時の一部負担引上げは9月から実施されていること周知の通りです。それとともに10月から薬価基準が平均10.2%引下げられ,開業医,中小病院は大巾な減収になったと伝えられます。そればかりでなく,「乱診乱療防止」はみごと効を奏して医者にかからなくなった患者が増えてきたため,開業医,中小病院には手痛い打撃となっているようです。一方,中央社会保険医療協議会(厚生大臣の諮問機関)は11月6日,診療報酬(医療料金で,現行は現物給付・出来高払い方式という,診療行為を点数表であらわし医師はそれに基づいて医療費を請求する方式によっている)を12月1日から平均7.7%引上げるとの厚生大臣からの諮問を可とする旨答申しました。そして健保法改悪の際約束された医療保険の抜本的改革のための試案は11月17日発表されています。
昨年はこうしてみてみるだけでも,社会保障の大きな後退がおこなわれた年といって過言でないように思われます。
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