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はじめに
昭和58年,医療関係者審議会理学療法士・作業療法士部会(以下部会という)は,中期的にみて,PT・OTの需給バランスはどのように推定されるかについて,厚生大臣宛に意見書を提出した.その意見書のなかで,PTの需要は昭和56年8,100名,65年10,800名,70年12,100名と推定し,一方,供給はそれぞれ3,045名,9,850名,14,380名となり,66年には需要と供給とが均衡し,67年以降は供給が需要の推定を上廻る状況となるだろうとされた.
この意見書のなかに,今後は,養成力の拡大から質の向上に重点を置いた施策に移行していくことの必要性が提言された.
その第一弾として,理学療法士・作業療法士学校養成施設指定規則(昭和41年文・厚生省令第3号)の一部が改正されて,昭和61年3月26日文・厚生省令第1号をもって公布され,同年4月1日から施行されることとなった.
改正の趣旨は,PT・OTの資質の向上を図る観点から,教員に関する基準を改め,教育体制の充実を図るためであった.
改正の概要は,専任教員の数および資格の基準について「4人以上は理学療法士である」ことに改めるとともに,「免許を受けた後3年以上理学療法に関する業務に従事した者であり,かつ,そのうち2人以上は免許を受けた後5年以上理学療法に関する業務に従事したもの」でなければならないこととした.
次の第2弾は,PT・OTのカリキュラムの改正に着手することであった.
現行の指定規則のカリキュラムは,昭和47年に旧指定規則のカリキュラムが改訂されたもので,すでに15年経過している.
前回改訂の背景には,昭和45年に国立療養所東京病院附属リハビリテーション学院で,教育改革を叫んで起きた学生運動による,いわゆる学院紛争がその発端となっている.
このような状況のもとに,昭和45年に,部会は,厚生・文部両大臣宛にPT・OTの教育は4年制大学で行われるべきであるとし,そのカリキュラム案を添えて提出した.
旧指定規則の総時間数は3,300時間で,過密カリキュラムであった.詰めこみ教育による技術偏重の職人教育から,ゆとりのある人間性の開発を含めたものとするために,一般教育科目をとり入れ,時間数を600時間減らして2,700時間とした.
更に,学校教育法による大学・短大での単位制による教育を考慮して,その整合性を図るうえからも2,700時間になったようである(表1).
したがって,現行カリキュラムは,ゆとりをもった教育をすることが可能になり,学生自身が自発的に勉学することを意図したものであったが,この15年間の実態はどんなものであったろうか.また,この15年間に,昭和47年当時,8校だった学校が現在44校になり,実に5.5倍に急増し,入学定員も145名から1,010名となり,6.97倍になった(表2).
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