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シンポジウム 精神医学研究の到達点と展望
思春期の精神病様症状体験と精神病性疾患の予防的支援
Psychotic-like Experiences in Adolescence and Preventive Intervention for Psychosis
西田 淳志
1
Atsushi NISHIDA
1
1東京都医学総合研究所精神行動医学分野
1Department of Psychiatry and Behavioral Science, Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science, Tokyo, Japan
キーワード:
Psychotic-like experiences
,
Early intervention
,
Schizophrenia
,
Adolescent
Keyword:
Psychotic-like experiences
,
Early intervention
,
Schizophrenia
,
Adolescent
pp.1207-1213
発行日 2011年12月15日
Published Date 2011/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405102051
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ユースメンタルヘルスの今日的意義
今日,日本を含む先進諸国は,人口の減少とその高齢化という共通の課題に直面している。高齢社会の支え手となる貴重な若年人口の健康や能力を最大限に高めることは,社会や地域の繁栄を維持する上で,今後,一層重要となる2)。
先進諸国において,若者の健康を最も脅かす要因は「精神疾患」である24)。精神疾患の多くは10代から20代前半までのいわゆる「ユース期」に初発する12)。ニュージーランドで行われた疫学研究によると,若者の50%近くがユース期に精神疾患の診断可能なエピソードを最低1度は体験し,そのエピソードがその後の人生の多様な転帰(就学達成度,収入を得る能力,社会参加など)に不良な影響を及ぼすことが報告されている7)。こうした知見からも,ユースメンタルヘルスが,精神保健領域の課題としての位置づけにとどまらない社会的課題であることが示唆されている18)。
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