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私のカルテから
健忘の回復を得た全生活史健忘の入院精神療法の一経過―麻酔面接の意義について
A Case of Amnesia of Personal History Treated by Anesthetic Interview
多田 真理子
1,2
,
中島 直
1
Mariko TADA
1,2
,
Naoshi NAKAJIMA
1
1医療法人社団新新会多摩あおば病院
2NTT東日本関東病院精神神経科
1Tama Aoba Hospital, Higashimurayama, Japan
2Department of Psychiatry, Kanto Medical Center, NTT EC
pp.1020-1022
発行日 2011年10月15日
Published Date 2011/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405102002
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はじめに
全生活史健忘は,自己に関する一切の記憶を想起しない一方,一般的知識は保たれ日常生活には支障を来さない。Jaspers2)が報告し,本邦では谷4)の報告が最初である。ICD-10ではF44.1解離性遁走の部分症状と考えられ,数年に及ぶ場合や再遁走も多い。筆者らは,全生活史健忘で入院し,精神療法を中心に2か月半経過後,麻酔面接を契機に生活史を知り得た例を経験した。葛藤状況を含んだ来歴へ直面後も病状悪化なく軽快退院し,本病態経過の一類型が示唆されたため報告する。個人情報保護のため症例には若干の変更を加え,学術報告を文書で説明し,同意を得た。
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