Japanese
English
研究と報告
全生活史健忘の臨床と精神力学的考察
Total Amnesia, Its Psychopathology and Psychodynamics
松木 邦裕
1
,
西園 昌久
1
,
福井 敏
1
,
野田 省治
1
,
小田 一夫
1
Kunihiro Matsuki
1
,
Masahisa Nishizono
1
,
Satoshi Fukui
1
,
Shoji Noda
1
,
Kazuo Oda
1
1福岡大学医学部精神医学教室
1Department of Psychiatry, School of Medicine, Fukuoka University
キーワード:
Psychogenic total amnessia
,
Chronic and acute conflicts
,
Depressive element
,
Anxiety of object loss
,
Hysterical dissociative reaction
Keyword:
Psychogenic total amnessia
,
Chronic and acute conflicts
,
Depressive element
,
Anxiety of object loss
,
Hysterical dissociative reaction
pp.1233-1240
発行日 1981年12月15日
Published Date 1981/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203346
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抄録 男性にみられた心因性全生活史健忘6症例の臨床的検討と精神力学的考察を行った。
そこでは,生活史上の問題,飲酒,遁走,発症や経過に関連しての身体反応,情動変化,対人態度など現象学的に興味ある所見が得られた。なかでも,準備因としての慢性葛藤,そして誘因としての急性葛藤の存在が認められた。また,これらの患者の情動の基底として抑うつが認められた。それは精神力学的には対象喪失不安に基づいたものであると理解される。
心因性全生活史健忘は,これまでヒステリー性解離反応として理解されてきているが,本症者の人格構造の特徴,さらに近年の精神分析的知見からも,この理解では十分とはいえず,より未統合な人格水準に基づく病理現象と理解される。
また,青年期症例の特徴についても壮年期症例との比較検討から考察を加えた。
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