書評
―Brian S. Everitt,Simon Wessely 著,樋口輝彦,山田光彦 監訳,中川敦夫,米本直裕 訳―ロンドン大学精神医学研究所に学ぶ―精神科臨床試験の実践
古川 壽亮
1
1京都大学大学院健康増進・行動学分野
pp.924
発行日 2011年9月15日
Published Date 2011/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101981
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精神医学における臨床試験で留意すべき点が示された名著
本書の真骨頂は,タイトルの通り,精神医学における臨床試験を正面切って取り扱い,その必要不可欠なことを論理的に説明し,具体的な手順と注意点を列記し,そして現行の臨床試験が陥りがちな陥穽に警鐘を鳴らしている点である。
よい精神医療を行うために臨床試験が必要であることに納得できない方には,ぜひ本書を書棚に置いて折に触れて読んでいただきたい。本書には,世にいう臨床試験への批判は必ずしも故なき非難ではないこと,しかし神ならぬ人間にはよい精神医療を行うためにはよい臨床試験を行うしか手がないこと,そしてそのためには精神科臨床試験で何に留意しなくてはならないかが書かれている。
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