Japanese
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短報
認知リハビリテーションにより文章記憶が改善した1統合失調症ケース
Approach to Cognitive Remediation of Sentence Memory Impairment in Schizophrenia: A case study
小松 敦子
1,2
,
松井 三枝
1
,
荒井 宏文
1
,
古市 厚志
2
,
鈴木 道雄
2
Atsuko KOMATSU
1,2
,
Mie MATSUI
1
,
Hirofumi ARAI
1
,
Atsushi FURUICHI
2
,
Michio SUZUKI
2
1富山大学医学薬学研究部(医学)心理学教室
2富山大学医学薬学研究部(医学)神経精神医学教室
1Department of Psychology, School of Medicine, University of Toyama, Toyama, Japan
2Department of Psychiatry, School of Medicine, University of Toyama
キーワード:
Cognitive Rehabilitation
,
Schizophrenia
,
Sentence memory
Keyword:
Cognitive Rehabilitation
,
Schizophrenia
,
Sentence memory
pp.1021-1025
発行日 2010年10月15日
Published Date 2010/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101719
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はじめに
統合失調症では,広範な認知機能障害を背景に,記憶・学習機能に加え,注意や実行機能など多岐にわたる領域に機能低下が認められることが知られている7,11)。その中でも特に記憶機能の低下が大きいことが示されてきており4,6,7,11),そのような認知機能障害に対する介入として,近年,認知リハビリテーションが注目を集めている14)。
これまで我々は,統合失調症の認知リハビリテーションとして,スクリプトを用いた社会的知識の構造化トレーニング法3)や単語刺激を用いた記憶の体制化トレーニング法9)の開発を行ってきた。しかし,日常生活では単語のみを記憶するという機会は少なく,むしろテレビやラジオ,会話や場内アナウンスなど,聞こえてくる多くの言語情報の中から重要な情報を選択し,その内容を記憶しなければならないことのほうが多いと思われる。また,統合失調症患者では,記憶機能の中でも特に,文章記憶の成績低下が顕著と報告されてきた4,7)。そこで今回我々は,新聞や雑誌などの身近な記事を用いて文章記憶能力を改善するためのトレーニングを新たに開発し,それによる介入を行った統合失調症患者1例について詳細に報告し,認知リハビリテーションの有用性について提起することとした。
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