Japanese
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短報
認知リハビリテーションによる記憶の体制化障害の改善可能性―1 統合失調症ケースから
Approach to Cognitive Remediation of Memory Organization Deficit in Schizophrenia: A case study
中坪 太久郎
1,2
,
松井 三枝
3
,
荒井 宏文
3
,
古市 厚志
4
,
鈴木 道雄
4
,
倉知 正佳
5
Takuro NAKATSUBO
1,2
,
Mie MATSUI
3
,
Hirofumi ARAI
3
,
Atsushi FURUICHI
4
,
Michio SUZUKI
4
,
Masayoshi KURACHI
5
1東京大学大学院教育学研究科臨床心理学コース
2日本学術振興会
3富山大学大学院医学薬学研究部(医学)心理学講座
4富山大学大学院医学薬学研究部(医学)神経精神医学講座
5富山大学大学院医学薬学研究部(医学)精神科早期治療開発講座
1Graduate School of Education, University of Tokyo, Tokyo, Japan
2Research Fellow of the Japan Society for the Promotion of Science
3Department of Psychology, Graduate School of Medicine University of Toyama
4Department of Neuropsychiatry, Graduate School of Medicine University of Toyama
5Department of Psychiatric Early Intervention, Graduate School of Medicine University of Toyama
キーワード:
Schizophrenia
,
Cognitive rehabilitation
,
Memory
Keyword:
Schizophrenia
,
Cognitive rehabilitation
,
Memory
pp.1111-1114
発行日 2009年11月15日
Published Date 2009/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101525
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はじめに
統合失調症における認知機能障害については,陽性症状が改善した後でもその障害が残存することが知られており10),病態の中核をなす障害として考えられてきている9)。これまで,統合失調症の患者を対象に,さまざまな領域の認知機能に関する検討がなされてきており,特に,記憶・学習,注意,実行機能などの領域において,機能の低下が大きいことが示されてきた9)。
近年,統合失調症の認知機能障害に対する介入として,認知リハビリテーションに注目が集まっている。そこでは,認知機能の直接的な改善,もしくは低下している機能を代償する手法の獲得が目指されており3),その効果が報告されている1,5)。
今回我々はパイロットスタディとして,統合失調症患者を対象に,認知リハビリテーションの効果の検討を行った。その中でも,これまで統合失調症患者の記憶障害の特徴の1つであると報告されてきた4,8,9)記憶の体制化に焦点を当てて介入を行った1症例について詳細に報告し,その改善可能性について提起することとした。
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