Japanese
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特集 内因性精神疾患の死後脳研究
精神疾患の脳形態画像解析からみた器質的要因
Possible Organic Factors of Psychiatric Diseases:A review from neuroanatomical imaging studies
鬼塚 俊明
1
,
中村 一太
1
,
神庭 重信
1
Toshiaki ONITSUKA
1
,
Itta NAKAMURA
1
,
Shigenobu KANBA
1
1九州大学大学院医学研究院精神病態医学
1Department of Psychiatry, Faculty Medical Sciences, Graduate School of Medical Sciences, Kyushu University, Fukuoka, Japan
キーワード:
Schizophrenia
,
Bipolar disorder
,
Magnetic resonance imaging
,
Diffusion tensor image
Keyword:
Schizophrenia
,
Bipolar disorder
,
Magnetic resonance imaging
,
Diffusion tensor image
pp.321-328
発行日 2010年4月15日
Published Date 2010/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101602
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はじめに
近年,精神疾患の病態研究として,高解像度magnetic resonance imaging(MRI)を用いた脳画像研究が盛んになってきた。現在では,さまざまな精神疾患において,正常者との微細な脳構造の違いが報告されてきている。灰白質の体積減少の報告が多いが,時にはある脳部位の体積増大も報告されている。注意するべき点として,疾患群で関心領域(region of interest;ROI)の体積が正常対照者と比べて有意に小さい(あるいは大きい)という結果が得られても,それが精神疾患の病態にどのような意義があるかは不明であり,あくまで正常者と異なるパターンであるということを示しているに過ぎないことを理解しておく必要がある。「萎縮」という用語は神経細胞数の減少を示すことが多いので,統合失調症のROIの体積減少は「萎縮」と表現するべきではないと思われる。
現在の脳形態画像研究から精神疾患における器質的要因を類推することは困難であるが,本稿では死後脳研究,脳機能研究の所見を考慮し,精神疾患の脳形態画像解析からみた器質的要因について述べてみたい。
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