Japanese
English
特集 成人の自閉スペクトラム症とライフステージの課題
成人期に診断されたASD者とその後(男性事例)
Individuals Diagnosed with ASD in Adulthood and Their Later Life
阿部 隆明
1
Takaaki ABE
1
1自治医科大学とちぎ子ども医療センター子どもの心の診療科
1Department of Child Psychiatry, Jichi Children's Medical Center Tochigi, Shimotsuke, Japan
キーワード:
Autism spectrum disorder
,
Depression
,
Schizophrenia
,
Bipolar disorder
Keyword:
Autism spectrum disorder
,
Depression
,
Schizophrenia
,
Bipolar disorder
pp.391-398
発行日 2016年5月15日
Published Date 2016/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205161
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はじめに
児童期の軽症例への着目に始まった自閉スペクトラム症(autism spectrum disorder;ASD)概念であるが,最近では成人の症例にも関心が集まるようになった。DSM-54)でも,その診断基準が明示されたが,成人ではASD症状そのものを主訴に受診することは少なく,むしろ気分障害や不安障害などのポピュラーな精神症状が前景に出ていることが多い。忙しい臨床現場では,こうした表層的な症状への対応に追われ,その背景にASDがあっても見逃されていることがしばしばである。症状が遷延する,あるいは繰り返すことで,ようやくその可能性が考慮されているのが実情であろう。たしかに,児童期の詳細な情報によって正確なASD診断が導かれるわけだが,その聴取が難しい成人で確定診断することは難しく,いきおい適切な支援までには手が届かない。とはいえ,その行動特性からASDが疑われる症例に対して,ASDへの標準的な対応をすると職場や家庭での適応が良くなるケースは少なくない。以下では,成人例におけるASD症状の出現様式,ならびにASDに合併する代表的な精神症状を解説し,症例を挙げながら,その適切な支援についても触れてみたい。
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