書評
―松下正明,影山任佐 編―現代精神医学の礎Ⅱ 統合失調症・妄想
中安 信夫
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1東京大学大学院医学系研究科精神医学分野
pp.1030-1031
発行日 2009年10月15日
Published Date 2009/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101514
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「彼の臨床観察のおどろくほどの綿密かつ詳細さは,〈中略〉これが精神医学の出発点なのだ,ということをあらためて感じさせられる」とはJ.カプグラらの「慢性系統性妄想における『瓜二つ』の錯覚」を翻訳した大原貢氏の解説にある一節であるが,この文章ほど評者が本書を読み通して得た,目も眩むばかりの感動を直截に表現しているものはない。
さて,本書,松下正明・影山任佐 編『現代精神医学の礎Ⅱ 統合失調症・妄想』は,今後順次刊行される予定の叢書『現代精神医学の礎』全4巻(収載論文は69編に上るとのこと)の第1回配本として出版されたものであるが,その元は雑誌「精神医学」16巻1号[1974(昭和49)年]に始まり1980年代の終わりまで,一時期は毎号のごとく掲載された(今も時折散見される)「古典紹介」シリーズの諸論文の大半を収載したものである。このシリーズを毎号心待ちした読者は多かったと思われるが,かくいう評者もその1人で,ある時思い立ってそのすべてをコピーし,簡易製本にして臨床の折々に参照してきたほどのものである。このたび本書の批評を依頼されて,シリーズ開始の折に何の趣旨説明もなかったゆえに疑問であった本シリーズ企画の経緯を医学書院「精神医学」編集室に問い合わせたところ,当時の担当者から次のような一文が寄せられた。
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