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編集後記
K. K.
pp.1036
発行日 2009年10月15日
Published Date 2009/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101515
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高齢者の認知症は,もうすでに大きな社会問題としてあちこちで取り上げられてきているが,若年性認知症は別の意味で最近大きな社会問題となっているにもかかわらず,この問題は真正面から取り上げられることがあまりなかったように思う。そこで,今月の特集には「若年性認知症をめぐる諸問題」を取り上げてみた。老年期の認知症の問題は,周知のように,患者数も多く,現在わが国ではおよそ120万人と推定されている。これからは老人人口がますます増加し,特に後期老年者が増加するので,認知症患者は増加の一途をたどることは間違いなく,この問題はさらに大きな社会問題となることになる。
一方,18歳から65歳未満に発症する認知症である若年性認知症については,最近大きな問題として社会的に注目されてきている。わが国での患者数は4万人ほどと推計されているが,実際にはもっと多いと思われる。特に40~50歳代に多い若年性認知症患者は,働き盛りであり,子どもの養育費など出費の多い時期に発症することが多いので,経済的にも,就労の面でも,医療・福祉の面でも,制度上の面でも多くの問題を抱えている。最近では若年性認知症研究会が結成され年2回研究会が開催されているし,各地に若年性認知症の家族会も結成され,活発に活動している。国もやっとこの問題に関心を示し,一応の施策を発表した。そこで,今回の特集では,医療の問題,運転免許の問題,支援制度の問題,就労の問題,家族会の要望,施策など,幅広い立場から若年性認知症の諸問題を明らかにしていただいた。
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