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私のカルテから
摂食障害者の食物万引きの1例
A Case of Eating Disorder Repeating Food Steal
袖長 光知穂
1,2
Michiho SODENAGA
1,2
1聖マリアンナ医科大学神経精神科
2研精会山田病院
1Department of Neuropsychiatry, St. Marianna University of Medicine, Kawasaki, Japan
2Kenseikai Yamada Hospital
pp.803-805
発行日 2009年8月15日
Published Date 2009/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101474
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神経性食思不振症(思春期やせ症)の重症者による食料品の万引き窃盗について,被告人の是非弁識能力を認めながらも,食行動に関する限り,その行動制御能力を完全に失っていたとして,心神耗弱とした原判決を破棄し,心神喪失と認定した事例〔大阪高裁昭59・3・27判決,窃盗,(昭58(う)十三),破棄自判(無罪)〕がある。
この事例に関して,岡田2)は,鑑定人の考え方にその時代の医療思想が反映された結果,各種依存を病理的行動様式として治療対象とする傾向が法的判断に持ち込まれたもの,西山1)は,不可知論において完全責任能力と判断されてきた器質的疾病のない精神病質者・神経症者にも深刻な精神的崩壊を認めざるを得ない場合とみなして,精神科医の主張を裁判所が認めた判決として紹介している。
起訴前簡易鑑定で食料品の万引きを繰り返した摂食障害患者の診察を行う機会があり,その中で摂食障害に合併するパーソナリティ障害と万引きの関連が推測された症例があったので,責任能力との関連を中心に報告する。
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