「精神医学」への手紙
1級症状とDSM―「展望」Schneiderの1級症状の診断的意義(本誌 50:838-855,2008)を読んで
柏瀬 宏隆
1
1医療法人十字会 松見病院
pp.807-809
発行日 2009年8月15日
Published Date 2009/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101475
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本誌50巻9号(2008年9月号)に掲載された針間氏ら3)による「Schneiderの1級症状の診断的意義」についての広範で周到な「展望」を,興味深く拝読致しました。
私たちは4~6),それまで日本ではSchneiderの1級症状の幻聴の1つHören von Stimmen in der Form von Rede und Gegenrede(話しかけと応答の形の幻聴)が「患者に話しかけ,患者に応答してくる形の幻聴」として理解されてきましたが,欧米では「声同士が話し合っている幻聴」として異なって解釈されている点を指摘し,それに対して著名な諸家よりご意見や反論や批判が寄せられ議論が沸き起こったことを,私はとても懐しく思い起こしました。西丸四方,諏訪望,中根允文,後に中谷陽二,西山詮の各氏からで,もう25年も前のことです。当時の議論は,Schneiderが述べた1級症状はどちらであるかの私たちが提起した争点を超えて,統合失調症にはどちらの幻聴がより意義が高いか,この幻聴の比較文化精神医学的検討,中毒性精神病の幻聴との比較,1級症状全般に共通した病態,Schneiderの著者『臨床精神病理学』の構成全体の基本性格について,などへと発展していきました。
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