古典紹介
E. Esquirol:Des hallucinations(1817)【第1回】
濱中 淑彦
1
,
高林 功
2
Toshihiko HAMANAKA
1
,
Isao TAKABAYASHI
2
1資生会八事病院
2義興会可知病院
1Shiseikai Yagoto Hospital, Nagoya, Japan
2Gikoukai Kachi Hospital
pp.487-497
発行日 2009年5月15日
Published Date 2009/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101425
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幻覚論
ある人物がある感覚sensationを実際に知覚しているという内的確信を持ち,その時この感覚を引き起こす適当な外的対象が彼の諸感官sensの射程内に存在しない場合,この人物は幻覚状態état d'hallucinationにある:これが幻視者visionnaireである。
ソヴァージュ[F. Boissier de]Sauvages[1763]は,諸感官に損傷があって,その損傷以前に知覚していたようには,もはやさまざまな感覚を知覚できない人の種々の誤謬に,hallucinationの名称を与えた。この疾病分類学者によって,見間違えberlue,重なって見えることbévue,耳鳴りtintoinは,狂気foliesという綱classeの最初の目ordreに位置づけられた。しかしこの場合,その他の感官や推論raisonnementによって,このような錯覚illusions,誤謬を訂正することは可能であるので,こうした諸現象はデリールdélireと混同してはならないとしている。
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