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精神病への早期介入活動が国際的に活発化している。国際早期精神病協会によるInternational Conference on Early Psychosisは今年で第6回を数えるし,専門学会に限らず,国際学会における早期介入に関する研究発表は非常に増えている。2007年にはEarly Intervention in Psychiatryという専門誌も発刊された。わが国においても,早期介入や発症予防への関心が,かつてなく高まっているようにみえる。早期介入をテーマに,学会でシンポジウムが相次いで企画され,雑誌で特集が組まれ,関連書籍が出版され,研究班が組織されるようになった。前駆状態の専門外来も開設されつつある。今さら「早期介入は是か非か」などと問う意味は乏しいのかもしれない。しかし,そのような議論がまだあることは事実である。また,早期介入の展開が一般精神科臨床にまで浸透しているとはいえず,むしろ戸惑いをもって迎えられている面もあるのではなかろうか。
早期介入といっても,精神病症状(陽性症状)が顕在化してからの介入と,DSM-IVなどの診断基準を満たすには至らないが,精神病発症リスクが高い状態(前駆期と考えられる状態)に対する介入に分けられる。実践の場面では,これらの2つが画然と区別され得るものではないが,前者は早期発見・早期治療という二次予防的介入であるし,後者は発症予防を視野に入れた一次予防的介入といえる。統合失調症において,顕在発症から治療を開始するまでの期間,すなわち精神病未治療期間duration of untreated psychosis(DUP)が長いほど転帰が不良であることは,メタ解析によってもほぼ確認されており,早期発見・早期治療の重要性は広く認識されている。統合失調症が慢性的経過をたどり,長期にわたり生活機能を損なうことの多い疾患であることを考えれば,前駆症状を呈する時期に適切な治療を施すことによって,顕在発症を予防するという発想が生じるのは自然なことといえる。ここでは精神病症状が顕在化する前の介入に話を絞る。
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