とびら
最近の情勢から考えさせられたこと
大場 みゆき
1
1中通リハビリテーション病院
pp.755
発行日 2009年9月15日
Published Date 2009/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101478
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世の中では100年に一度の不況といわれ,リストラや給料カットなど暗い話題が多いが,私たち医療職にとって景気による直接的な影響は少ない.医療は利益を上げることを目的とするわけではなく,あくまでもよりよい医療を提供することが何よりのポリシーである.理学療法士の労働対価は診療報酬として評価され,これまで,数年に一度の診療報酬改定のたびに一喜一憂させられ,ある時は踊らされた.いつの間にかなくなったADL加算については,理学療法を実施する場所を理学療法室から病棟へとシフトさせ,病棟で行う理学療法の意義や内容について討議し,改めてADLへの介入の重要性を認識させられたのと同時に,他職種との協業や役割の違いなどを継続して議論していくことが必要となった.
また,算定日数制限が設けられたことにより,限られた日数の中で濃厚なリハビリテーションを提供するだけでなく,クリティカルパスに沿って計画的・段階的に進めることが重要となった.患者や家族にとっては,まだ障害受容がなされていない時期から,将来の生活の場について考えなければならなくなった.しかし,このような制度上の流れのスピードに,患者の心はそう簡単にはついてこられないものである.
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