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シンポジウム ストレスと精神生物学―新しい診断法を目指して
ストレスと免疫システム―心身相関の謎を探る
Stress and Immune System
神庭 重信
1
Shigenobu KANBA
1
1九州大学大学院医学研究院精神病態医学分野
1Department of Neuropsychiatry, Graduate School of Medical Sciences, Kyushu University, Fukuoka, Japan
キーワード:
Psychoimmunology
,
Stress
,
Cancer
,
Psychooncology
Keyword:
Psychoimmunology
,
Stress
,
Cancer
,
Psychooncology
pp.1169-1172
発行日 2007年11月15日
Published Date 2007/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101106
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はじめに
こころのあり方が免疫システムを中心とする生体防御系へ少なからぬ影響を与えることは,古来より幾度となく経験に基づいて語られてきた。Schweitzer Aは「どの患者も自分の中に自分自身の医者を持っている。どのような病気になろうとも,一番良い薬は,すべき仕事があるという自覚,ユーモアの感覚を調合したものである」と象徴的な言葉を残している。やがて,これらの経験が科学的に説明され得る事実であることが,洗練された疫学研究や近代的な実験系を組んだ研究により明らかにされ,今日では我々は,脳と免疫がクロストークしながら複雑で精緻な生体防御系を維持していることを理解している。脳は,自律神経系,神経内分泌系そして体温・摂食・睡眠などの生理機能を介して免疫系に影響し,一方免疫系は,サイトカイン,ペプチド,スーパーオキサイドなどを介して脳機能に影響を与えている。精神免疫学は,この脳と免疫の連関を背景として,こころと免疫が関与する身体疾患との(双方向の)関係に焦点を当てて研究する学問分野である2)。
公開講座では,精神免疫学の概論を都民向けにわかりやすく紹介した。その内容の大方は,すでに幾つもの出版物にまとめたものである5)。ここではその繰り返しは避け,がんの精神免疫学的研究のトピックスを幾つか紹介し,日本でも盛んになってきたサイコオンコロジー活動について若干の感想を述べてみたい。
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