動き
「日本思春期青年期精神医学会第20回大会」印象記
伊藤 洋一
1
1勤医協札幌病院精神科
pp.980
発行日 2007年9月15日
Published Date 2007/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101073
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日本思春期青年期精神医学会第20回大会が,6月16日と17日の両日,小倉清学会会長と舘直彦大会会長のもと,天理大学杣之内キャンパスで開かれた。昨年に続き文科系大学が会場で,医師はもちろん医療や福祉,心理学や教育の専門家も参加した。これは広い関連領域を持つ本学会の特徴であり,また本学会が診断学的な関心より精神療法的な実践に軸足を置いている表れでもある。
ところで今日,思春期関連の学術集会は難しい舵取りを迫られている。毎日のように報じられるいじめ,ひきこもり,非行,虐待,子殺し・親殺しなどの事象を,どう取り扱いどう取り込むか。社会の病理現象ばかりに目が向くと,学術集会はマスメディア的な一時の興味・関心に翻弄されかねない。逆に日常臨床だけにしか目がいかないなら,背景にある社会文化的要因を見落とすことになる。われわれ臨床家はいかにして個別性から普遍性を汎化するかを求められている。
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