Japanese
English
短報
悪性高熱症の既往のある統合失調症患者に対するolanzapineの使用経験
A Case Report of a Schizophrenic Patient with the Past History of Malignant Hyperthermia Treated with Olanzapine
西澤 章弘
1
,
井原 裕
1
,
新井 平伊
1
Akihiro NISHIZAWA
1
,
Hiroshi IHARA
1
,
Heii ARAI
1
1順天堂大学医学部精神医学教室
1Department of Psychiatry, Juntendo University School of Medicine
キーワード:
Olanzapine
,
Malignant hyperthermia
,
Neuroleptic malignant syndrome
Keyword:
Olanzapine
,
Malignant hyperthermia
,
Neuroleptic malignant syndrome
pp.1111-1114
発行日 2003年10月15日
Published Date 2003/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405100916
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はじめに
悪性高熱症と悪性症候群とは,高熱,筋硬直,横紋筋融解などの症状が類似し,治療法もdantroleneを使用するなど病態の共通性が指摘されている。そのため,悪性高熱症の既往を持つ患者に抗精神病薬を使用する場合には,悪性症候群の発現が危惧され,使用すべきでないという見解もある15)。今回我々は,悪性高熱症の既往歴のあった統合失調症患者に対し,悪性症候群の副作用の少ないと考えられるolanzapineを使用した。経過中,高CK血症を呈したものの,olanzapineの服薬により悪性症候群が出現することはなく,寛解が得られた。悪性高熱症は,吸入麻酔薬などの麻酔薬が引き金で生ずる発現頻度の低い疾患であり,臨床において悪性高熱症の既往のある患者に抗精神病薬を使用する機会に遭遇することは極めて稀と思われる。
本症例は,悪性高熱症の既往のある症例に対する治療的判断に際して参考になると考えられ,若干の考察を加え報告する。
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