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はじめに
インターン制度の再来だという苦言を受けることもあるが,実際に研修制度にかかわる先輩医師の意識がその程度であるとは考えていない。インターンという制度は「医師でなく医療を担う不安定な1年間」であることを強いたことや金銭的な裏付けの不足,「見学中心で実効が上がらない」ことなどを理由に制度が廃止され,法律によって卒後すぐに医師免許を受けることができるようになり,臨床研修が努力目標とされた。この臨床研修制度が発足すると,ストレート研修がもたらす弊害が指摘されることになった。初期臨床研修の目標は歪められ,医師としての第一歩から専門化された研修をするため,全人的な診療やいわゆるプライマリ・ケアの技術・知識を身につけることができない医師が生まれることになった。これを憂慮し,ローテート研修への誘導策が繰り返しとられたが,診療科ごとの各講座医局制度が専門医の促成養成を目指しており,受け入れられなかった。
2000年11月に医師法が改正され,2004年以後に医師免許を取得した者は,2年間一定の要件を満たす施設で研修に専念し,終了後医籍に研修終了の旨を登録すると同時に「臨床研修修了登録証」を交付されることになる。そして,この登録を受けていない者が診療所を開設する場合には都道府県知事の許可が必要になり,病院の開設者は登録を受けた医師に管理(病院長)をさせなければならないことになる。
新たな研修制度は,医局制度や地域医療のあり方,医師会の役割,あるいは大学学部教育にまで大きなインパクトを与えることになる。新しい臨床研修のあり方を議論する場として設けられた厚生労働省の「医道審議会医師分科会医師臨床研修検討部会,新医師臨床研修制度ワーキンググループ」において,日本医師会は,良い医師の養成のためには初期臨床研修の充実が不可欠との考えから,「原則として特定機能病院である大学付属病院での研修を禁止し,地域の複数の医療機関が連携し地域主導で行う研修のあり方」を提案し,この方向に沿った提案がなされた。
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