Japanese
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特集 精神科医療における介護保険制度
介護保険制度を通じた保健・医療・福祉の統合と課題
A Task for Integration of System for Elderly Care Insurance, Medical Care and Welfare Service
須貝 佑一
1
Yuichi SUGAI
1
1浴風会病院精神科
1Yokufukai Hospital
キーワード:
Elderly care insurance
,
Medical care
,
Dementia
,
Schizophrenia
Keyword:
Elderly care insurance
,
Medical care
,
Dementia
,
Schizophrenia
pp.1035-1040
発行日 2004年10月15日
Published Date 2004/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405100561
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はじめに
介護保険制度が発足して4年が経過した。制度の開始当初の介護保険利用者の混乱は影をひそめ,介護サービス側も利用者側も制度に慣れて介護保険制度は軌道に乗ったかに見える。落ち着いてこの間の経過を振り返ってみると,介護保険制度は社会福祉法の改正とリンクしながら社会福祉の分野に大きな構造改革を迫ったとも考えられる。構造改革の根幹は福祉がサービス業種として明快に位置づけられたことである。2000年4月1日は介護保険制度の発足と社会福祉法の改正で福祉が一般の商品社会の中に一夜にして投げ出された瞬間でもあった。施設入所者やデイケアに通う利用者は消費者である。その結果は福祉の現場にさまざまな波紋を呼び,今もその余波は続いている。サービス業者と消費者という新たな関係性の出現は実際に現場で働く介護サービス職員と利用者,利用者家族との間にある種の緊張関係を生み出してもいる。福祉がサービス業と位置づけられながら,一方で営利追求は制限され,保険金の範囲内で質の向上を義務化されるという特殊性を抱えてしまった。消費者の立場からは,介護認定というランクづけで消費の内容が決まってしまう。ここに福祉のあるべき理念と実際の福祉現場の実情との乖離が生まれる隙間があるように思える。介護保険制度と福祉,医療の解決すべき課題について列挙し,利用者とサービス提供者の両者の視点から改めて検討してみたい。
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