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はじめに
Wilkinsonら5)は,統合失調症患者の認知と関心を測定する,妥当で実用的な自己記入式質問票として,Schizophrenia Quality of Life Scale(SQLS)を開発した。近年,医療現場において,疾病の治療のみならず病者の「生活の質(以下,QOL)」が注目されており,統合失調症患者においても,重要な関心事の一つとなっている。従来,統合失調症患者のQOL評価には,Medical Outcomes Study 36-item short-form health survey questionnaire(SF-36)4)やHeinrichsらのQuality of Life Scale(QLS)2)などが用いられてきた。QOLの評価に関しては,疾病特異的で自己評価式の尺度の重要性が指摘されているが1),SF-36は,自己評価式であるものの,疾病特異的ではなく,また,QLSは疾病特異的ではあるが,自己評価式ではない。そこで,Wilkinsonらは統合失調症患者のQOLを評価するために,実用的で,コンパクトな自己評価式尺度として,SQLSを作成した。SQLSは,30項目からなる質問表であって,各項目は0点から4点で採点される(:「一度もない」=0;「ほとんどない」=1;「時々ある」=2;「よくある(たいていできる,よく思う)」=3;「いつもある(いつもできる,いつも思う)」=4)。SQLSは,3つの領域(心理社会関係,動機/活力,そして症状/副作用)を評価し,臨床試験や治療介入の評価を主な目的としている。また,SQLSはすでに,信頼性が高く,妥当で実用的であることが示されている4)。我々は,その有用性に着目し,臨床応用のために,原著者の許可を得た上で,日本語版(JSQLS)を作成したので,ここに紹介する。日本語訳にあたっては,まず,2名が独立して仮日本語訳を作成し,その後訳者2名に第3者を加えた計3名で協議した上で日本語訳を作成し,さらにその後,原文を知らない者2名に独立して日本語訳のback-translationを行わせ,この英文のそれぞれを原著者に確認してもらった。なお,JSQLSの信頼性,妥当性については,すでに検討されている3)。
Summary
Quality of life (QOL) in people with schizophrenia is an important subject of interest. However, conventional scales are not practical for various reasons. Recently, Wikinson et al. developed a new self-completing QOL scale, “The Schizophrenia Quality of Life Scale (SQLS)”, Which addressed the perceptions and concerns of individuals with schizophrenia. Its primary use in intended to be in clinical trials and related forms of evaluation of interventions. The SQLS is a thirty-item questionnaire, and provides scores on three subscales (psychosocial, motivation/energy, and symptoms/side effects). The SQLS has been shown to be reliable, validated and practical. Therefore, for its clinical application, we prepared the Japanese-language version of the SQLS (JSQLS). The JSQLS was made through back-translation into English, which was checked by the original author of the scale.
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