Japanese
English
短報
右前頭葉眼窩面損傷後に多彩な精神症状を呈した1例
A Case with Various Psychiatric Symptoms after Traumatic Brain Injury in Right Orbito-frontal Region
吉見 明香
1
,
都甲 崇
1
,
中村 慎一
1
,
浅見 剛
1
,
中川 牧子
1
,
六本木 知秀
1
,
塩崎 一昌
1
,
平安 良雄
1
Asuka YOSHIMI
1
,
Takashi TOGO
1
,
Shinichi NAKAMURA
1
,
Tsuyoshi ASAMI
1
,
Makiko NAKAGAWA
1
,
Tomohide ROPPONGI
1
,
Kazumasa SHIOZAKI
1
,
Yoshio HIRAYASU
1
1横浜市立大学医学部精神医学教室
1Department of Psychiatry, Yokohama City University School of Medicine, Yokohama, Japan
キーワード:
Traumatic brain injury
,
Orbitofrontal zone
,
Psychiatric syndrome
Keyword:
Traumatic brain injury
,
Orbitofrontal zone
,
Psychiatric syndrome
pp.179-182
発行日 2007年2月15日
Published Date 2007/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405100392
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はじめに
器質的な脳障害後に精神症状が出現することは少なくなく,その内容は多岐にわたる。古くは情動障害として,Schneider9)により記述され,その後さまざまな研究者により情動障害の概念で報告されてきた。近年では,DSM-III-Rによる記述がなされ,Koponenら5)によれば,外傷性脳損傷の既往を持つ60例の30年間の経過中,約60%の症例でAxis 1に該当する精神障害が認められたとされている。また,他の多くの疫学調査によっても,頭部外傷の既往を有する場合には,その後精神疾患を発症する可能性が高いことが示されている。しかしながらその症状や経過はさまざまであり,損傷部位と精神症状との関連についても不明な点が多い。
今回我々は,12歳時の交通外傷による前頭葉眼窩面損傷後,経時的にさまざまな精神症状を呈した1例を経験したので,前頭葉損傷と精神症状の関連について考察を加えて報告する。
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